【新任教員の紹介】翠川博之先生(フランス文学・フランス語)
<Q1> 「お名前」をお教え下さい。
翠川博之(みどりかわ ひろゆき)と申します。
<Q2> 「ご専門(あるいは担当科目)」をお教え下さい。
フランス文学とフランス現代思想です。フランス語の授業を主に担当させていただきます。
<Q3> 好きな食べ物は何ですか。
あっさりしていて、味わい深いものが好きです。春の食材だと、蕗の薹、独活、こごみ、こしあぶら、タラの芽、筍、蕗……。魚や肉の他に季節を感じられる食べ物をよくいただきます。
<Q4> 好きな映画を紹介してください。
映画はほとんど見ません。気力が萎えて本を読む気になれない時に見ることはあります。映像を眺めているだけなので、ストーリーはすぐに忘れてしまいます。インド映画とか、ふだん馴染みのない景色を眺められる映画が好みと言えば好みです。
<Q5> 最近嬉しかったことは何ですか。
長年探していた研究書が手に入ったことです。絶版本なので古書を探していたのですが、ずっと見つけられずにいました。どうしても読みたくて出版社に問い合わせてみたところ、なんと在庫が残っていたのです。三十年近く前の定価で購入することができました。
<Q6> 感銘深く読んだ本と学生に推薦したい本をお教えください。
感銘を受けた本も推薦したい本もたくさんあって絞りきれません。昨年読んだ小説のなかから気軽に手にとっていただけそうなもの選ぶとすれば、梨木香歩さんの『村田エフェンディ滞土録』(角川書店 2004)がお薦めです。『家守奇譚』(新潮社 2004)や『冬虫夏草』(新潮社 2013)と併せて読めばさらに楽しめると思います。
胸に響いた本や薦めたい本については、これから時を得てその機会に相応しいものを紹介していくつもりです。
<Q7> 研究者(あるいは教員)を志したのは いつですか。
大学院の修士課程を終えて博士課程に進む時でした。研究者を志したというより、どんな形でも勉強は続けていこうと決めた、と言ったほうが正確です。職業は生活ができれば何でもいいと思っていました。教員になれたのは幸せでした。
<Q8> 学院大(生)のよいところをお教え下さい。
これまで複数の大学でフランス語を教えてきました。学院大でも非常勤講師としていろいろな学部・学科を担当させていただいたので、よいところはたくさん挙げられます。言語文化学科の学生さんの特によいところは、明るくて人見知りせず、たとえ成績がいまいちでも卑屈にならないところ……。人を評価する物差しがひとつでないことを自然に体得しているような開放的なところがあって、これは多様な文化を学ぼうと入学してきた学科生ならではの美質だと思います。もちろん、あくまでも一般的な傾向です。学生さん一人ひとりにそれぞれの個性がありますから、これからたくさんの学生さんとより親しく関われるのをとても楽しみにしています。
<Q9> 学生時代に印象に残った先生について教えてください。
学生を泣かせるので有名なT先生は、授業の後よくビヤホールに誘ってくださいました。詩人のK先生は、ご自分が主催されている詩の会に毎月連れていってくださり、詩作の指導をしてくださいました。Y先生のお宅には一年間ほとんど週末毎にお邪魔して、朝から晩まで囲碁を教えていただきました。大学院でお世話になったK先生は、夜中に飲みかけの一升瓶をさげて私の部屋を訪ねて来られるような豪傑で、一升瓶を空けてから先生いきつけの「我忘(がぼう)」というバーに行き、よく朝方まで飲みました。そんな先生たちから実にさまざまなことを学ばせていただきました。心から感謝しています。結局、詩も囲碁もセンスがなくてものにできませんでしたが、人生を楽しむ姿勢と学問を愛する精神は受け継ぎました。
<Q10> 異文化“誤解”のエピソードがあればお教え下さい。
フランスに留学した当初の恥ずかしいエピソードがあります。大学に通いはじめて間もないころ、とても可愛らしい女性クラスメイトに「Tu as l’heure ?」と聞かれました。直訳すれば「時間、持ってる?」です。お茶か食事に誘われるものと思い、迷わず「Oui」と答えましたが、それが時刻を尋ねるくだけた表現であることを苦笑交じりに説明されてしまいました。文化を誤解したというよりも、無知な私が彼女の意図を誤解しただけですが、「誤解」と言うと真先にそれが思い浮かびます。思い出すだけで、今でも顔から火が出ます。
今ふいに記憶が蘇ったのですが、日本語に堪能なフランスの友人が何かのおりに、「目から火が出る」と言って恥ずかしがっていました。目から出るのは、火花? こういう誤りは微笑ましいですね。
<Q11> 赴任以来、「なんでやねん」と思わずツッコんでしまった出来事はありますか。
新型コロナウイルス騒ぎに遭遇してしまったことです。
<Q12> 五月病に悩む学生へ一言、「こうしてごらん」。
日常から少し距離をおくこと。人には自分を見つめる心の目のようなものがありますが、心身が疲れてくると、その目が自分に同化してしまうようです。なんだか鬱陶しいばかりで、何がしたいのか分からないような気分になるのは、自分との距離がうまくとれていないからではないでしょうか。そんな状態になった時、私は旅をします。日常的な習慣から物理的な距離を取ると精神的な距離も回復できるような気がするからです。日帰り旅行でも効果はありますから、ローカル線にでも乗って、その日行きたいところに行ってみてはどうでしょう……と言っても、今は移動が制限されているので、日帰り旅行も難しいですね。そんなときこそ……インド映画を見てごらん。
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