2017年12月22日金曜日

 

スクーリング情報② 【文化のしくみ】課題図書紹介

【課題図書紹介】 -文化のしくみ-         担当:津上誠 先生

 

 「文化」とは、各社会の人々が共有するものの見方や考え方のことを言います。「文化のしくみ」では、芸術や思想のように高尚なものから、家族とか衣食住、恋愛、占いのように、そこら辺に転がっていそうなものまで、さまざまな事柄を「文化」の現れとしてとらえ、考察します。

 「文化のしくみ」研究には、「異文化理解を通じて自分の文化に気づく」という基本姿勢があります。 『イスラームの日常世界』 を選んだのは先ずそのことをわかっていただくためです。イスラム教徒は、1日5回祈るとか、女がベールを被るとか、断食月があるとかいった、不思議な習俗を実践します。この本はそれらを具体的に紹介しながら、実は彼らには私達にはない「すごいところ」があるのだということを、次第に気づかせてくれます。



 もしあなたの身近に、いつもあなたを気にかけてくれ、何もかも与えてくれ、賢い生き方を教えてくれる人がいたら、あなたはその人に喜んで従いたくなるはずです。イスラム教徒にとっての神とはそういう存在です。彼らの「すごいところ」とは、そういう存在を信じられるということです。個々の習俗は苦行ではなく神が教えてくれた理にかなった行為としてとらえられます。日々の生活は神と共にあり、意味に満ちあふれています。

 この本を読んでいくうちにあなたは、「すごいところ」を持たず何もかも自己決定せねばならない私たちの方がむしろ苦しい生き方をしているのではないかと思えてくるかもしれません。このときあなたは自文化についてひとつの気づきを果たしたことになります。

 さて、もう一つの本には 『在日韓国・朝鮮人』 を選びました。それは、差別といったリアルな社会問題に直面したときにも「文化」を考えることになるのだということに、ぜひ気づいていただきたかったからです。

 この本では、「在日」の人々が、自分が差別的状況の中にあると少しでも自覚してしまった場合、色々な「生存戦略」を採ることが紹介されています。自分が「在日」であることを隠し、普通の「日本人」として通そうとする人がいますし、そもそも自分は「在日」ではなく祖国(北朝鮮や韓国)の人間なのだと位置づける人もいます。他方、自分が「在日」であることを隠したり否定したりしない人もいますが、そういう人々にも、自分は何よりも「在日」なのだと言って「在日」というカテゴリーをありのままに肯定させようとする人がいれば、自分は確かに「在日」だが、そもそも私が何人(なにじん)であるかは(例えば私が音楽家であるということに比べれば)さして重要なことではないと言う人もいます。

 しかし、この本をじっくり読んでいくうちにあなたは、「在日」の抱える問題の根っこには、「日本人」自身が知らず知らずにとってしまいがちな「民族」についての思い込みがあることに、気づいていくと思います。それは、人々を「韓国朝鮮人」か「日本人」かのどちらかに分けたがり、どちらとも言えない曖昧な存在は許さないという、「日本人」自身がとりがちな分類法です。差別といった生々しい問題にも、「文化」すなわち社会の人々が共有するものの見方・考え方が、根底に横たわっているということです。

投稿日:2017年12月22日カテゴリー

 

2018年度 スクーリング情報(1)

言語文化学科に合格されたみなさん、おめでとうございます。

今は大学生活への期待も高まる時期かと思います。これからの4ヶ月は、大学生活にとって重要な準備期間となります。それは勉学についても、それ以外の活動についても同じです。どうぞ一日一日を充実したものにしてください。

言語文化学科では入学前の準備教育として、「スクーリング」と呼ばれるイベントを実施しています。お手元に既に資料が届いているかと思いますが、日程・場所は以下のようになっています。必ず出席してください。

日時:2018年3月3日(土)10:10-17:00
場所:泉キャンパス2号館224教室ほか

2号館はここです↓



※      ※       ※

<当日のプログラム>

Ⅰ.10:10~10:50 スクーリングの説明、学科長挨拶、学生の自己紹介

             (2号館224教室)

Ⅱ.11:00~11:50 〈課題2〉に関するセミナー part 1

①「ことばの分析」(岸浩介先生、32A教室)
②「考えること・表現すること」(文景楠先生、32B教室)
③「ことばの習得と教育」(渡部友子先生、32C教室)
④「ことばとコミュニケーション」(小林睦先生、32I教室)
⑤「日本語学と日本語教育」(佐藤真紀先生、32J教室)

Ⅲ.12:00~12:50 昼食

Ⅳ.13:00~15:15 学びのオープンキャンパス(4年生が高校生に向けて卒業論文について発表するイベントです。具体的なプログラムは当日お知らせします。)

Ⅴ.15:30~16:20 〈課題2〉に関するセミナー part 2

①「文化のしくみ」(津上誠先生、32A教室)
②「日中韓の言語文化」(原貴子先生、32B教室)
③「英米の言語文化」(秋葉勉先生、32C教室)
④「独仏の言語文化」(宮本直規先生、32J教室)

<休憩> 16:20~16:30 → 224教室に移動

Ⅴ.16:30~ アンケート回収及び解散

投稿日:2017年12月22日カテゴリー

2017年12月13日水曜日

 

留学生と宮城県立図書館へ




毎週水曜2校時はいわゆるゼミなのですが、本日(13日)は土曜の振替授業日に当たったため、図らずも“休講”の態となりました。がしかし、滞日期間の限られた交換留学生にとって、この“休講”はあまりに惜しい(彼女たちは大学院生ですから)。かくて、向学心に燃える中国人学生と教員の5名は、宮城県立図書館の参観に出かけたのでありました。

投稿日:2017年12月13日カテゴリー