2019年12月11日水曜日

 

2020年度スクーリング情報②【ことばの分析】課題図書紹介

課題図書紹介 【ことばの分析】 担当:岸浩介先生

・黒田龍之助『はじめての言語学』(講談社現代新書、2004)[電子版も可]

・広瀬友紀『ちいさい言語学者の冒険―子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店、2017)[電子版も可]

私たちは普段から何気なく「ことば」を使って生活しています。この「何気なく使っている」という事実があるため、「ことば」の使用はいわば「当たり前のこと」として見過ごされがちですが、少し視点を変えて考えてみると様々な問いが浮かんできます。いくつか例を挙げてみましょう。



 例えば、私たちは、今まで一度も発したことのない文を発することができますし、今まで聞いたことの無い文であっても理解出来ます。これはいったいなぜなのでしょう。また、私たちは、子供の頃に日本語の文法規則を誰からも教わらずに育ったにも関わらず、自由に日本語を使いこなせています。なぜこのようなことが可能なのでしょう。確かに国語の授業やテレビ番組などで「こういうときにはこういう日本語を使う」という風に「正しい日本語の使い方」を部分的に教わる、あるいは知識として取り入れることはありますが、果たしてその知識だけでこのようなことは可能になるでしょうか。

 次に外国語について考えてみましょう。「英語の文を作るときは、こういう順番で単語を並べる」とか「この形容詞はこの名詞を修飾できない」ということは習うことがありますが、「『なぜ』そうなっているか」についてはどうでしょう。「英語の文法にそういう規則があるからだ」という説明を受けることがあったかもしれませんが、ではその「英語の文法」に「なぜ」そのような規則があるのでしょう。また、英語と日本語では多くの相違点が見られると言われますが、共通点は本当に存在しないのでしょうか。  上で述べたような問いに解答を試みるのが言語学の目標です。もちろんここでの問いは、わたしたちの「ことば」について問題にされることのほんの一部であり、様々な問題が「ことばの研究」の考察対象になりえます。これも「ことば」ということば自体がとても広い意味を持っており、各国の文化研究や外国語習得論、さらには脳科学といった様々な領域と密接に関連しているからです。スクーリングの課題図書として挙げた2冊は、この「ことばの研究」という極めて幅広い学問領域に最初の一歩を踏み出すための良いきっかけとなります。これらの本を出発点にして「ことば」に対する理解を深めれば、言語文化学科でのより深い学びにつながるでしょう。

投稿日:2019年12月11日カテゴリー

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