我々の活動が新聞に取り上げられました
“HANDS”という、地域の外国人の日本語学習をサポートするサークルの記事が、
『河北新報』夕刊(12月20日)に掲載されました。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201912/20191220_13024.html
教養学部で日本語教員を目指す学生たちが中心に始めた活動で、いまも毎週2回、
とても熱心に活動しています。
“HANDS”という、地域の外国人の日本語学習をサポートするサークルの記事が、
『河北新報』夕刊(12月20日)に掲載されました。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201912/20191220_13024.html
教養学部で日本語教員を目指す学生たちが中心に始めた活動で、いまも毎週2回、
とても熱心に活動しています。
課題図書紹介 【独仏の言語文化】 担当:宮本直規先生
・小田中直樹『フランス7つの謎』(文春新書、2005)
・新野守広・飯田道子・梅田紅子『知ってほしい国ドイツ』(高文研、2017)
フランス文化の紹介は、文学、絵画、音楽,映画などの芸術を題材として無数の書物が書かれてきましたし、また食文化やファッション関係の解説書も数多く存在します。しかし、それ以外の関心を持って留学した人が、実際にフランスに住んでみて感じたギャップやカルチャーショックを正直に記した本は意外に少ないのではないでしょうか。
本書は、フランスの社会経済史を専門とする若い研究者がフランスに長期滞在したときに感じた、日常生活の疑問を率直に語り、その答えを探る内容になっています。いわば、日本の一般市民の視点を保ちながらのフランス体験記であり、知ったかぶりや無条件のフランス礼賛とは無縁です。
一読すれば、頑固なフランス人気質が、グローバル化の波の中でどのような軋轢を引き起こしているのか、よくわかりますし、日本の社会と比較することによって、フランスの現状だけではなく、日本社会の常識を考える視点も与えてくれます。
一方、「ドイツの言語文化」の課題図書は、『知ってほしい国ドイツ』(新野、飯田、梅田編著、高文研、2017、1700円)という本です。ドイツの文化や歴史について、入門者にも分かりやすく解説した本は現在数多く出版されていますが、この本もそうしたものの一つです。
ドイツのペット事情やビールへのこだわりといった「ドイツ文化あるある!」的な記述でスタートし、第2次世界大戦を境としたその前後のドイツ文化の点描が続き、ヒトラーとナチズムについての章を経て、難民問題、脱原発、EUとの関係といった極めて現代的なテーマによって締めくくられます。特に第2次世界大戦前夜からヒトラー、ナチス、東西ドイツ、ドイツの再統一という近現代史の流れは、言語文化を志す皆さんには是非とも読んでおいてもらいたい部分です。
「知ってほしい」というタイトルが示すとおり、ドイツのことを「知りたい」と思っているみなさんには格好の入門書であることは確かなのですが、個々の部分では入門書の枠を超えた、突っ込んだ記述になっていることもまた事実です。しかし巻末には時代毎のドイツの地図や簡単な年表もついていますし、その気になればネットやスマホを駆使して未知の概念を調べながら読み進むことも可能なはずです。今のうちに、ぜひそうした読書のあり方にもチャレンジしてみて下さい。
課題図書紹介 【英米の言語文化】 担当:秋葉勉先生
・池上彰『そうだったのか! アメリカ』(集英社文庫、2009)
・コリン・ジョイス『「イギリス社会」入門』(NHK出版新書、2011)
「英米の言語文化」のジャンルでは、イギリスとアメリカに関係する文化、文学、歴史、思想、政治、経済など様々なことを学ぶことができます。関連する科目として、「英米文学史(2年次)」、「英米の言語文化(2年次)」、「英米文学(3年次)」、「原典講読(3年次)」、「言語文化学演習(3年次)」、「総合研究(4年次)」が用意されています。ことばとしての英語の言語表現と機能を学び、それと同時にことばの背後にある意味をさまざまな視点から分析・研究することによって、英米の言語文化のもつ特質を学ぶことができます。
次に推薦図書について簡単に紹介します。
(1)池上彰著『そうだったのか!アメリカ』(集英社) は、よくあるアメリカの紹介本とは違い、池上氏が現代のアメリカが抱える問題を分かりやすく解説しています。9章で構成されていて、アメリカの「宗教」、「連合国家」、「帝国主義」、「銃」、「裁判」、「移民」、「差別」、「経済」、「メディア」について、豊富な資料をもとに多角的な視点から解説されています。読んだあとに読者が「そうだったのか!」と驚かされ、アメリカを十分に理解できる内容になっています。
もう一つの書物は、(2)『「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国』(NHK出版新書) です。著者はコリン・ジョイスという英国人ですが、大学卒業後に日本とアメリカに18年以上も滞在した経験を持っているため、自分の国の文化―例えば、お酒やパブ、コーヒー文化、歴史、イギリス英語とアメリカ英語の違いなどを、日本やアメリカの文化と比較しながら客観的に説明しています。ただ単に自国の文化の優れた点を強調している他の書物と違い、ユーモアを交えてイギリスの良いところも悪いところも均等に説明している入門書です。
(1)と(2)の書物は、本学の言語文化学科で他国の言語と文化を学ぶ方法のヒントを与えてくれる非常に役立つものです。
課題図書紹介 【中韓の言語文化】 担当:金永昊先生
・池内敏『竹島―もうひとつの日韓関係史』(中央公論新社、2016)
・箱崎みどり『愛と欲望の三国志』(講談社、2019)
●池内敏『竹島―もうひとつの日韓関係史―』(中公新書2359、中央公論新社、2016)
竹島(韓国名:独島)は日本と韓国の間で領有権をめぐって対立しています。それぞれが正当性を主張していますが、議論は噛み合わず、韓国による占領が続いています。
今回のスクーリングでは、まず、我々がよく目にしたり、耳にする「固有の領土」というのはどのような意味を持つものなのかについて話し合います。これは、「昔からずっと日本の領土であった」という意味でしょうか。北方領土についても「日本固有の領土」と言えるのでしょうか。それでは、中国の立場でいうと、「固有の領土」とはどこからどこまででしょうか。モンゴルやイタリアは?
次に、日韓の文献資料・古地図を確認しながら、韓国の主張について検討します。一方、現在日本の社会科教科書には、竹島について、「日本海にある竹島では、17世紀には日本の人々が漁を行っていました。1905年に明治政府が国際法に従って島根県に編入し、日本固有の領土として再確認されました」と書かれています。ここで、日本人が漁を行っていれば日本の領土と言えるのか、17世紀には領有権という概念が存在していたか、「再確認されました」というのはどのようなことか、などについて話し合います。
それから、1905年の日本領編入についての経緯と韓国側の主張、サンフランシスコ平和条約での領土画定、李承晩ラインの設定について検討します。これによって、みなさんは竹島問題について、マスコミが解釈した内容を鵜呑みにするのではなく、自分の独自の力で考えた答えを説得力を持って周りの人に説明できるようになることを目指しています。
まず、「三国志」と『三国志演義』は、性格の異なる全く別の書物であり、厳密に区別されなければなりません。本書を読んで、両者の違いについて、説明できるようにしましょう。
我々が『三国志』とよく呼んでいる作品は、中国の歴史の中で、一瞬ともいえる百年ほどの時代を描いた小説です。なのに、本場中国ではもちろんのこと、日本においても古代から現代に至るまで非常に大きな人気を博しました。特に、吉川英治の『三国志』をはじめ、映画やドラマ、アニメ、パソコンゲームに至るまで「三国志」が登場しています。この『三国志』は韓国においても古代から大きな人気を集め、日韓両国において異なる形で解釈され、享受されてきたのは非常に興味深いことです。
本書は6章で構成されています。第3章から第6章までは、日本における「三国志」受容の歴史について分かりやすく説明されています。特に、江戸時代には歌舞伎や浄瑠璃のように人々が身近な娯楽として遊んでいましたが、明治時代には国家が目指す理想も担うようになり、日中戦争期、戦後など、時代が経つにつれて、各時代の要求に合わせて『三国志』が解釈されました。
次に、本書の第1章と第2章をもとに、みなさんが考えている『三国志』の名場面、魅力的な人物について話し合うことにします。みなさんはどうして『三国志』が面白いと思いますか。キャラクターが魅力的だから?人生の教訓が詰まっているから?誰も勝者にならない、滅びの美学があるから?みんなで話し合いましょう。
課題図書紹介 【日本の言語文化】 担当:房賢嬉先生
・荒川洋平『日本語という外国語』(講談社現代新書、2013)
・石黒圭『日本語は「空気」が決める』(光文社新書、2013)
いきなりですが、もしみなさんが外国人に次のようなことを聞かれたら、どう答えますか?
「私は田中です」と「私が田中です」はどう違うの?
「おいしそうだ」と「おいしいそうだ」はどう違うの?
「月(げつ)、火(かー)、水(すい)、木(もく)」の「火(か)」は、なぜ伸ばして読むの?皆さんにとって日本語は、もはや当たり前のものになっていて、これらの質問にどう答えればよいかわからないという方も少なくないでしょう。日本で生まれ育ち、母語として日本語を身につけてきたみなさんは、日本語を「国語」として学んでいます。国語の授業では、すでに知っている日本語を「文法」という視点で整理・分析する方法を学びます。一方、日本語を母語としない人は、「外国語」として日本語を学んでおり、その過程は母語話者とは逆のプロセスを辿ります。つまり、話す・書くための日本語(文法や表現)を学び、次第にそれを使いこなせるようになっていくのです。
『日本語という外国語』の著者、荒川洋平さんは「外国語」という視点で日本語を眺め、日本語とはどういう言語なのか、日本語を教えるとはどういうことなのかについて書いています。日本語や日本語教育に興味のある方はぜひ読んでみてください。日本語を母語としない人の視点に立ち、意識的・客観的に日本語を眺めることで、これまで見えてこなかったことが見えてくると思います。
2冊とも日本語に関する本ですが、『日本語という外国語』は主にことばそのものを扱っており、『日本語は「空気」が決める』は、ことばと社会の関わりや個人が使うことばを扱っています。日本語を眺める視点は異なりますが、日本語という言語をより深く理解するための様々な見方を提供してくれると思います。
課題図書紹介 【文化のしくみ】 担当:津上誠 先生
・片倉もと子『イスラームの日常世界』岩波新書[電子版も可]
・福岡安則『在日韓国・朝鮮人』中公新書[電子版も可]
「文化」とは、各社会の人々が共有するものの見方や考え方のことを言います。「文化のしくみ」では、芸術や思想のように高尚なものから、家族とか衣食住、恋愛、占いのように、そこら辺に転がっていそうなものまで、さまざまな事柄を「文化」の現れとしてとらえ、考察します。
「文化のしくみ」研究には、「異文化理解を通じて自分の文化に気づく」という基本姿勢があります。 『イスラームの日常世界』 を選んだのは先ずそのことをわかっていただくためです。イスラム教徒は、1日5回祈るとか、女がベールを被るとか、断食月があるとかいった、不思議な習俗を実践します。この本はそれらを具体的に紹介しながら、実は彼らには私達にはない「すごいところ」があるのだということを、次第に気づかせてくれます。
この本を読んでいくうちにあなたは、「すごいところ」を持たず何もかも自己決定せねばならない私たちの方がむしろ苦しい生き方をしているのではないかと思えてくるかもしれません。このときあなたは自文化についてひとつの気づきを果たしたことになります。
さて、もう一つの本には 『在日韓国・朝鮮人』 を選びました。それは、差別といったリアルな社会問題に直面したときにも「文化」を考えることになるのだということに、ぜひ気づいていただきたかったからです。
この本では、「在日」の人々が、自分が差別的状況の中にあると少しでも自覚してしまった場合、色々な「生存戦略」を採ることが紹介されています。自分が「在日」であることを隠し、普通の「日本人」として通そうとする人がいますし、そもそも自分は「在日」ではなく祖国(北朝鮮や韓国)の人間なのだと位置づける人もいます。他方、自分が「在日」であることを隠したり否定したりしない人もいますが、そういう人々にも、自分は何よりも「在日」なのだと言って「在日」というカテゴリーをありのままに肯定させようとする人がいれば、自分は確かに「在日」だが、そもそも私が何人(なにじん)であるかは(例えば私が音楽家であるということに比べれば)さして重要なことではないと言う人もいます。
しかし、この本をじっくり読んでいくうちにあなたは、「在日」の抱える問題の根っこには、「日本人」自身が知らず知らずにとってしまいがちな「民族」についての思い込みがあることに、気づいていくと思います。それは、人々を「韓国朝鮮人」か「日本人」かのどちらかに分けたがり、どちらとも言えない曖昧な存在は許さないという、「日本人」自身がとりがちな分類法です。差別といった生々しい問題にも、「文化」すなわち社会の人々が共有するものの見方・考え方が、根底に横たわっているということです。
課題図書紹介【ことばとコミュニケーション】 担当:信太光郎先生
・鷲田清一『ひとはなぜ服を着るのか』(ちくま文庫)
・橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』(ちくま新書)
橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』、鷲田清一『ひとはなぜ服を着るのか』
「美しい」とはどういうことでしょうか。たとえば味が美しいこと、つまり「美味しい」とは。それが、甘い、しょっぱい、辛いといった感覚刺激の一種ではないことは明らかです。しかしどんな感覚なのかと問われると、答えに窮してしまいます。味覚刺激をどう掛け合わせようと、「美味しい」はでてきません。(「旨い」とは違います。「旨い」の素はれっきとした化学物質です)。実際、「美味しい」というのは、あなたが口腔や鼻腔や食道の粘膜で感じるようなものでないのです。それはむしろ、あなたの身体の外側にひろがる感覚です。いうなら、美味しいと「誰か」に言いたい、美味しいと「誰か」に分かってもらいたい、美味しいから「誰か」にも食べさせてあげたい、そういった感覚が「美味しい」です。それは人と人の「あいだ」で感じられる感覚なのです。一般に「美しい」という感覚は、人間が人と人の「あいだ」を生きる存在であることに関わっているのです。
人間がこうして「あいだ」を生きる存在であるということは、人間が「服を着る」理由も説明してくれます。服というのは、体温調整機能をになった動物の毛皮のような、単なる生きるための実用品ではありません。人間にとって「服を着る」ことの本質的な意味は、身体表面というものを拡張することにあります。人間において身体とは、上皮細胞と粘膜によって囲まれた領域のことではなく、その表面のごく近くに引っ掛かった布地(第二の皮膚)を通じて、外側へと広がっていくものなのです。人間はその拡張された身体表面において、冷温感や触感という生理的皮膚感覚にとどまらず、「誰かのまなざし」も感ずるのです。こうした独特の身体感覚をもっていることもまた、「あいだ」を生きる人間存在を特徴づけています。
以上のことを念頭において、橋本氏、鷲田氏の本を読んでみてください。
課題図書紹介 【ことばの習得と教育】 担当:坂内昌徳先生
・白井恭弘『外国語学習に成功する人、しない人』(岩波科学ライブラリー、2004)
・竹内理『「達人」の英語学習法―データが語る効果的な外国語習得法とは』(草思社、2007)
1.『外国語学習に成功する人、しない人』白井恭弘著
「何年も勉強しているのに英語が使えるようにならない」という挫折感を多くの日本人が抱えています。しかし一方で、英語を使って国際的な舞台で活躍する人もいます。成功と挫折を分ける要因は何なのでしょうか。そして、どういう学び方をすれば、英語が身につくのでしょうか。この本は、これらの問いに答えてくれます。
「これさえやれば英語が話せる」というような宣伝を見聞きすることがありますが、実は科学的根拠に基づいたものは少ないのです。外国語習得の研究者である著者は、これまでの研究で分かったことを紹介しながら、学習のコツを具体的に提示しています。「なぜ」を理解し「どう」すればいいかが分かれば、学習はしやすくなると思います。この本は、大学入学後も継続して学ぶ英語と、新たに学ぶ第二外国語の学習を支える一冊です。
「外国語は幼いうちに始めた方がよい」とよく言われます。実際、中学校で学び始めて最終的に高いレベルの英語力を手に入れる人が少ないことは、調査でわかっています。しかしこのことを逆に見ると、少数だが存在する、とも言えます。「達人」と呼ぶべきその少数派に、この本は注目します。彼らは一体、どのような学び方で英語をマスターしたのでしょうか。
第1~2章は、外国語習得に影響を与える様々な要因(年齢や性格など)について、研究で判明していることを紹介します。この部分は、白井氏の著書と一部内容が重なります。第3~5章は、達人たちが実際に行なった学び方の共通点を導き出し、効果的な学習方法を探り出します。そこからわかるのは、短期間で楽に英語が身につくような魔法はない、でも努力の仕方に秘訣はある、ということです。日本に生まれ、日本で普通の英語教育を受け、長期の留学経験もない人が、どうして英語の達人になれたのか、あなたも知りたくありませんか?
課題図書紹介 【考えること・表現すること】 担当:文景楠先生
・野矢茂樹『はじめて考えるときのように』(PHP文庫、2004)
・山田ズーニー『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(PHP新書、2001)
「考えること」と「表現すること」は、どちらもありふれたことに思えます。この文章を読んでいる皆様は、日々何かを考え、そして表現しているはずです。例えば、「お腹が空いた」と頭で考え、「ご飯が食べたい」と誰かに向かって表現することがそうです。すでにできている当たり前のことなら、大学に入ってまで学ぶ必要はあるのでしょうか?
とはいえ、「じゃあ「考えること」や「表現すること」ってなんですか?」とまじめに聞かれると、なかなかいい答えは浮かんできません。それに、「きちんと考えなさい!」や「分かるように表現しなさい!」といった小言を聞いた経験を思い出してみてください。そういうときに、いったい何をどうすればいいのかがわからず、困ったことはありませんか?だとすれば、私たちは結局、「考えること」や「表現すること」が本当は何なのか、よくわかっていないようです。
二冊の本は、スタイルがかなり違います。共通しているのは、どちらにも「こうすれば満点!」といえるような安直な答えは用意されていないという点です。そもそも大学での学びは、正解が用意されているテストのようなものではないのです。大学の先生は、以前にも増して皆様に「君の考えは?」や「もっときちんと表現してくれませんか?」と聞いてくるでしょう。まだイメージがわかないかもしれませんが、とりあえずこの二冊を読み、「すっきりしないな。でもなんだか面白そう!」という気持ちで大学にいらしてください。
後は色々とおしゃべりしながら、一緒に「考えること」や「表現すること」とは何かを考え、表現していきましょう。
課題図書紹介 【ことばの分析】 担当:岸浩介先生
・黒田龍之助『はじめての言語学』(講談社現代新書、2004)[電子版も可]
・広瀬友紀『ちいさい言語学者の冒険―子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店、2017)[電子版も可]
私たちは普段から何気なく「ことば」を使って生活しています。この「何気なく使っている」という事実があるため、「ことば」の使用はいわば「当たり前のこと」として見過ごされがちですが、少し視点を変えて考えてみると様々な問いが浮かんできます。いくつか例を挙げてみましょう。
次に外国語について考えてみましょう。「英語の文を作るときは、こういう順番で単語を並べる」とか「この形容詞はこの名詞を修飾できない」ということは習うことがありますが、「『なぜ』そうなっているか」についてはどうでしょう。「英語の文法にそういう規則があるからだ」という説明を受けることがあったかもしれませんが、ではその「英語の文法」に「なぜ」そのような規則があるのでしょう。また、英語と日本語では多くの相違点が見られると言われますが、共通点は本当に存在しないのでしょうか。 上で述べたような問いに解答を試みるのが言語学の目標です。もちろんここでの問いは、わたしたちの「ことば」について問題にされることのほんの一部であり、様々な問題が「ことばの研究」の考察対象になりえます。これも「ことば」ということば自体がとても広い意味を持っており、各国の文化研究や外国語習得論、さらには脳科学といった様々な領域と密接に関連しているからです。スクーリングの課題図書として挙げた2冊は、この「ことばの研究」という極めて幅広い学問領域に最初の一歩を踏み出すための良いきっかけとなります。これらの本を出発点にして「ことば」に対する理解を深めれば、言語文化学科でのより深い学びにつながるでしょう。
言語文化学科に合格されたみなさん、おめでとうございます。
今は大学生活への期待も高まる時期かと思います。これからの4ヶ月は、大学生活にとって重要な準備期間となります。それは勉学についても、それ以外の活動についても同じです。どうぞ一日一日を充実したものにしてください。
言語文化学科では入学前の準備教育として、「スクーリング」と呼ばれるイベントを実施しています。お手元に既に資料が届いているかと思いますが、日程・場所は以下のようになっています。必ず出席してください。
日時:2020年3月7日(土)9:30-14:45
場所:泉キャンパス2号館224教室ほか
2号館はここです↓
※ ※ ※
<当日のプログラム>
Ⅰ.9:30~10:00 学科長挨拶、学生の自己紹介(2号館224教室)
①「ことばの分析」(岸浩介先生、32A教室
②「考えること・表現すること」(文景楠先生、32B教室
③「ことばの習得と教育」(坂内昌徳先生、32C教室
④「ことばとコミュニケーション」(信太光郎先生、32I教室)
Ⅲ.11:10~12:00 〈課題2〉に関するセミナー part2
①「文化のしくみ」(津上誠先生、32A教室)
②「日本の言語文化」(房賢嬉先生、32B教室)
③「中韓の言語文化」(金永昊先生、32C教室)
④「英米の言語文化」(秋葉勉先生、32I教室)
⑤「独仏の言語文化」(宮本直規先生、32J教室)
( 12:00~12:50 昼食 )
Ⅳ.13:00~13:45 優秀卒業論文発表会( 第一部 2** 教室 )
Ⅴ.14:00~14:45 優秀卒業論文発表会( 第二部 2** 教室 )