【新任教員紹介3】Ulrich FLICK 先生(ドイツ語)
今年は、長年言語文化学科に勤められたゾンダーマン先生が退職され、その後任として4月からフリック先生が着任されました。さて、今日は、【新任教員紹介】コーナの第3回目として、フリック先生をご紹介致します。
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<Q1> 「お名前」をお教え下さい。
Flick, Ulrich(フリック・ウルリッヒ)と言います。
<Q2> 「ご専門(あるいは担当科目)」をお教え下さい。
専門はもともと日本研究と中国研究です。学生時代は幅広い分野で様々なことをやりましたが、最終的に歴史学の方に落ち着きました。具体的に言うと、主に植民地の教育史を研究しています。こちらではコミュニケーションをメインにドイツ語の授業を担当していますが。
<Q3> 好きな食べ物は何ですか。
おいしいものが好きです。
↑フリック先生の故郷ハイデルベルクの風景
<Q4> 好きな映画を紹介してください。
これは意外と難しい質問です。好きな映画はたくさんありますが、私が評価しているところはかなりバラバラなので、「これだ」と限定するのは難しいですね。
<Q5> 最近嬉しかったことは何ですか。
先日朝6時に、鶯が家の前で一生懸命鳴いてくれたことです。
<Q6> 感銘深く読んだ本と学生に推薦したい本をお教えください。
感銘深く読んだ本はたくさんありますが、特に日本人にはミヒャエル・エンデ著作の『モモ』をお薦めしたいです。もともと青年文学として位置づけられている作品なので、大人に薦めていいのかと、違和感を覚えるかもしれませんが、内容が大変深い作品です。作品を通じて得られるものがとても多いと思います。
<Q7> 研究者(あるいは教員)を志したのは いつですか。
学者家庭出身であるのも大きな要因だと思いますが、最初に研究者になるのを志したのは幼稚園の頃です。高校卒業までそう思ってきましたが、正直にいうと、大学に入ってから、それが本当に自分にふさわしい進路なのか、本当に自分が望んでいる進路なのか、かなり迷ったこともあります。結局他の原因もあって、実際しばらくこの道から外れたこともあります。
<Q8> 学院大(生)のよいところをお教え下さい。
この質問には今の段階ではまだ答えられません。授業が始まったばかりで、まだ他の大学と比べての特徴をつかめていません。設備が大変充実していて、そういう意味で学院大はとても勉強しやすい環境になっていると思います。
<Q9> 学生時代に印象に残った先生について教えてください。
実はいい意味で印象に残った先生も、悪い意味で印象に残った先生もおります。
いい意味で印象に残った先生といえば、以前留学の時お世話になった先生のことを思い浮かべます。研究者としても、教育者としてもとても優秀で、特徴が多い方でしたが、大変印象に残ったのは先生の教え子の扱い方でした。先生はシャイな学生に人の前で話す必要がある任務を与えたり、場合によって少しいじめのようにも受け止められたかもしれませんが、よくよく考えてみると、それぞれの教え子に、本人の成長につながるような刺激を与えようとされていたことがわかります。しっかりと学生の性格を見て、人の成長を狙い、本人に最も相応しい扱い方をしようとするのはこの先生のとても素晴らしいところだと思います。
<Q10> 異文化“誤解”のエピソードがあればお教え下さい。
異文化「誤解」といえば、確かに異文化との接触の難しさがよくわかるエピソードがあります。
以前、母校にヨルダンから留学にきた軍医と知り合い、仲良くなって、ある日自宅に招かれました。多くの国では確かにそうですが、ドイツでも人のお家を訪ねる場合、とても親しい人でしたら別かもしれませんが、やっぱり手ぶらではいけないですね。ただ、アラブの文化をあまり詳しく知らなかったので、どうすればいいか、よくわかりませんでした。そこでエジプト出身の友人に聞いてみたところ、エジプトの場合にはやはりちょっとしたプレゼントを持っていくとのことでした。ちょうどその時、仲間にレバノン出身の友人がいたので、レバノンの方がヨルダンに近いということで友人の仲間にも意見を求めました。場所によって習慣が違うけれども、やはり食べ物みたいな、ちょっとしたプレゼントを用意すれば間違いないだろうとの回答でした。宗教の関係で問題になるものもあるので、結局ドイツ特産のクッキーにしました。ただ、実際に知り合いのお家を訪問し、プレゼントを渡したら、相手はそれに大変難色を示しました。そしてこんなことを語ってくれました。
「実は同じヨルダンでも場所によって習慣が違います。実際にあったことですけれども、あるベドウインの部族が違う部族を訪問した時、プレゼントを持っていけば、相手が貧乏でお客さんをもてなす能力がないという意味を持つので、何も用意せず、相手の部族ではプレゼントを用意するのは当たり前だったので、結局ケチと思われました。しばらく経って、後者の部族が前者の部族を訪れた際には、自分たちの習慣どおりたくさんのプレゼントを持って行った結果、お客さんをもてなす能力がないと相手に疑われているという印象を与えてしまいました。アラブ文化では相手が貧乏だと思うのも侮辱ですが、おもてなしを非常に大事にする文化なので、相手がケチだと思うことも侮辱に相当して、この出来事によってこの二つの部族は仲が破れました。」
そして私の知り合いもプレゼントを用意しない方の伝統を持っていました。
異文化との接触においては、普段はお互いの好意によりこのような問題は乗り越えられますが、文化背景、とりわけ習慣と伝統は深いところまで染みつくものなので、相手が悪意でやっていないことが分かっていても、どうしても関係に傷が生じたりすることもあります。私の知り合いも、私がその背景について知らなかったことははっきり分かっていましたが、この時点では空気が緊張感に満ちていました。結局私がプレゼントをあげたいのではなく、自分の国のものを紹介したいということにしたら、ようやく私の知り合いもそれに納得してくれ、緊張感が一気にほぐれ、一緒にとても楽しい時間を過ごすことができました。
<Q11> 赴任以来、「なんでやねん」と思わずツッコんでしまった出来事はありますか。
不思議に思ったことも、違和感を覚えたこともいろいろありますが、その中にはご質問にふさわしいエピソードは多分ないと思います。
<Q12> 五月病に悩む学生へ一言、「こうしてごらん」。
ドイツには五月病がないので、ドイツへの留学をお勧めします。
【学生からも一言】
フリック先生はドイツ、ヨーロッパの歴史、文化はもちろん日本の文化にまでも造詣の深い大変博識な先生であり、また、研究室に質問に行った時も丁寧にアドバイスをくださるのでとても良い先生です。
言語文化学科3年生後藤健太郎さん